趣味は何ですか? という質問が一番困る。
わかりやすい趣味ってあると思う。例えば趣味は何ですかと聞かれて「サッカーです」とか「料理です」とか「旅行です」とかってとてもわかりやすいし、次の質問もとっても簡単、「ポジションはどこ?」とか「得意料理は?」とか「最近はどこへ行きましたか?」とか、結局趣味を聞くというのは相手の事を知ろうする時であるとか、まあとりあえず話すことがないと手持無沙汰なので当たり障りのない話題としてあげてみようとする時であるとか、それを1として2や3の話題へ繋げていくのが大切である訳だ。だから何か一つでも他人に対して熱く語れる趣味を持っていることというのは重要だと思う。
わかりにくいけど話題になる趣味もあると思う。例えば趣味は何ですかと聞かれて「アマチュア無線です」とか「バイノーラル録音です」とか要はマイノリティな趣味のことである。それって結局その行為に対して一体どういうことをするのかだとか、何がきっかけでそれが好きになったのだとか、そういう風に話題が繋がっていくのでこれもまた大元の質問に対する目的は果たされていく訳だ。
言いにくい趣味ってのもまたあると思う。極端なことを言えば趣味はセックスですという人がいたとして、それって例えどんなに好きだったとしても趣味ですという発表の仕方はしにくいはずだ。要するに趣味として挙げることに何らかの理由で後ろめたい気持ちがある、不道徳なことであるとか単純に恥ずかしいことであるとか一人でひっそりとやることであるとか、そういうものだ。あとは発表することに恥ずかしさや後ろめたさはないが、文字通り説明するのが難しいものもあるだろう。例えば、あえて説明が難しいということの説得力の為に詳しい説明を省いて言うと、僕はラグビーをやっていてフォワードだったのだが相手ボールのラインアウトに対してこちらは山を作らず相手がボールのキャッチ後に形成しようとするモールを崩す為にジャンパーとリフターの間に身体を強引に差し込んでボールに絡む練習がかなり好きだった、仮にこの行為が好きなんですよねーと言ったとして、その後に会話が続くだろうか。要するに細かすぎて伝わりにくいものということだ。
僕の好きなこと、趣味というのはこの3つ目である割合が非常に高い。でも僕は自分がこんな人間で、こんなことに感動する人間であるということを知ってもらいたい気持ちというのは、実は大いにある。
だから本件に対しての僕の気持ちは、話題として発展のある趣味が欲しいということ、あとは僕の好きなことというのは実はこんなことなのだということを発表したいことの2点である。前者は今後の努力次第、あるいは人生の過ごし方次第でどうにかなりそうなものだが、後者というのは僕が僕自身のことについて他人に直接発表するのが苦手な人間であるということ、そもそも言いにくいことが趣味であるということで恐らく叶わない。
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僕の半年間の社会人生活で気付いたこと。
社会人の趣味は大体パチンコ、タバコ、パズドラ、女遊びのどれかであって、金を持った学生が何をするか考えればわかるような内容ばかりである。社会人なんてものは職業がある学生となんら変わらない。僕の環境だけなのかも知れないが、意外と積極的に酒を飲む人というのはそこまでいない、飲み会自体は少なくないが、それは酒を入れることよりも会話を楽しむことを重視するものであるから、僕は社会人っぽい遊びとして飲酒だけは好きなのだが、飲酒を目的として飲酒が出来る店へ行く人は少ない。
僕はタバコなんて生涯吸う気はないし、パチンコ通いも強引に誘う人がいない限り絶対自分からは行かないだろうし、パズドラに課金することもないだろうし、どこの誰ともわからない女に対して金を払うこともしないと今は思っている。だからそれをやる人に対して話題がない。4人いて3人がパチンコをやっていて僕1人大人しくしているというパターンがよくある。僕自身はそれでも構わないのだが、その3人に対して気を遣わせているような気がしてどうにも居心地が悪いような気持ちを味わうこともある。
みんながやっていることを僕がやっていないという時に便利なのは、僕の血液型がAB型であるということだ。以前会社の部内の飲み会で血液型を聞かれた際、AB型だと答えたら「あ~わかるわ~」と言われたことがあり、それはそれで僕が周囲からどう見られているのかがはっきりとわかったような気がして少々思う所があったりもしたが、AB型は変わっているというステレオタイプがあるお陰で、僕がみんなやってることをやっていないということに対して多少の根拠が生まれるのがありがたいところである。
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僕が好きなこと、というのは単純に並べるとするならばネット・漫画・アニメ・音楽・酒とそのような感じである。幸いそういうようなことが関係のある業界に就職出来ているということもあるし、今時オタクであるということも珍しくはないと思うし、実際毎期気に入ったアニメをいくつか見ていますということをそういうことをしない人に対して言うこともある。しかしながらでもだからこそということもあって、例えば最近進撃の巨人というアニメがやっていたのだが、これが周囲で大変な人気で、それこそ普段深夜アニメを見ないような人も見ていたものだから、しかも僕はこれを見ていなかったので、深夜にアニメを見る人種の癖にこの話題に入っていけず大人しく小さくなっていたことが何度もある。僕はもうそういう壮大なストーリーがありそうなものは疲れた、途中から見始めても何ら問題ないようなもの、有体に言えばかわいい女の子がだらだら日常を過ごしているような内容であればもうどうでもいいのだ。実際それを見るのが好きなのかどうかわからなくなるもの、でもつい見てしまうのだから恐らく好きなんだろうなというもの、そんなものが好きなのである。
よくよく幼少期から今までのことを考えて見ると、ポケモンが好きになったのも近所に住んでいた友達の影響だしニンテンドー64を買ってもらったのも友達の影響だし遊戯王カードを始めたのも友達の影響だし深夜のアニメを見始めたのも友達の影響だし焼酎を飲み始めたのも友達の影響だしギャルゲーを始めたのも友達の影響だしツイッターを始めたのも友達の影響だし、僕は何一つ自分で好きなものを決めてこなかった、しかし好きなものとの出会いというのは案外そいういうものであるのかも知れない。僕はその時所属している団体の雰囲気に流されてしまうことが多いから、もしかすると将来的に会社の人が好きなことを一緒に楽しむようになってしまうのかも知れない、しかしながらそう思うとかなりゾッとする。単純に金がもたないのではないかと思う。時間がある時は筋トレや読書が好きだったはずなのだが、筋トレするような体力はなくなったし、読書もまた同様である。それなりにこだわりを持ち時間をかけて身体を鍛えていたはずだし、本当の興味や関心を持って読む本を選んでいたはずなのに、時間的な余裕があるかないかというのは本当に残念な問題であった。
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機会があれば僕が好きなものについて熱く語りたい。でも自分の趣味を主題としてべらべら話すことのうっとうしさについても僕は知っているつもりだからそういう機会が訪れることはないのかもしれない。実は今かなりアルコールを含みながらこの記事を書いているので一体どういう文章になっているのかわからないが、それでも酔っている時に言うことというのは限りなく正直なことのような気もするので、目覚めた時に確認するのが怖いようでもあり楽しみなようでもある。今はいつ買ったのかわからないようなビンの日本酒を飲んでいるのだが、米の味がする酒は苦手、好きなのは麦が交じっている芋焼酎、あるいは純粋な麦焼酎、でもやはり酒というのは酒が好きな仲間と一緒に飲むのが楽しみだったりもする訳で、ああ誰かと一緒に今後の人生がどうでも良くなるまで飲みたいなあなどと今この記事を書きながら思う。結局僕は今自分が好きなことについて一緒に語ることが出来る友達がいなくて淋しいんじゃないだろうか、そんな気もしている。
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勝利力士インタビューで今後の抱負を聞いた時って絶対「一番一番集中して取り組んでいくだけです」的なこと言うけど堅苦しい世界だね、ということを思ったりした。おわり。